30歳過ぎから工学 vol.2

http://d.hatena.ne.jp/j130s/ から移行しました.オープンソースロボットソフトウェア技術者兼主夫. 高校・大学学部文系-->何となくソフトウェア開発業-->退職・渡米,テキサス州でシステムズ工学修士取得,しかし実装の方が楽しいと気付き縁があったロボティクス業界で再就職.現在 Texas 州内の産業用オートメーションのスタートアップに Georgia 州から遠隔勤務.

ISTS 2008 (宇宙技術および科学の国際シンポジウム)

13泊の国内旅行をしており, 今日終わりました. 最後の4泊は浜松で標題の国際会議に聴講出席しました.
http://www.ists.or.jp/index.html
目的は 1)宇宙開発に従事する人達の雰囲気を知る, 2)宇宙開発の hot な技術/アプリケーションを知る, 3)宇宙開発に従事する人達と知り合う, 4)ウナギ の4つ.
2 までが必須でそれ以降は option と考えていたけれど, 4つとも達成できました.
私は宇宙開発にこれから入って行きたいものの, 知識も経験も知合いも居ないのでこの半年間はあらゆる経路から情報入手に努めました. 今回もその一環で, 特に包括的体系的に情報が得られるし, 何より現場の雰囲気を感じれることで今後の身の振り方にも少なからず参考にできるし, モチベーションを上げることに繋がれば良いなと思っていました. だから今日の日記は何年もこの業界に居る方から見たら常識であることばかりでしょうね.
目次
I. 全プログラム概観とその感想
II. 特に興味のあったプログラムとその感想
今日は I について, 明日 II について書きます.
目的の 1)宇宙開発に従事する人達の雰囲気を知る について. 情報処理分野なら8年仕事してきたし国内外の学会参加させてもらっていて雰囲気はわかるものの, 宇宙開発の現場レベルの人って中々お会いすることができず, 今回は良い機会でした.
まず, 今回1,000人以上の参加者が居たそうですが, 目測だと半分は JAXA の方に見えました. そして国際会議なのだが日本人が8割を占めているように見えた. 更に女性, 少ないですね...NASApodcast 聴いてると技術者志望の女性もけっこう登場するので, ひょっとして日本特有の現象かも? 雰囲気は, やはり真面目です. 皆さん情報系よりもしっかりした身なりと面持ち. オタッキーな人が少ない. まあ業務として来てる JAXA の人が多ければそれも当然ですね.
2) について. hot なアプリケーションは, 言うまでもないが国際宇宙ステーション(ISS)と月開発であると思いました. 会期中に スペースシャトル Discovery が星出彰彦さんを乗せて発射しました. 月は日本の "かぐや" が月を周回中ですし, NASA の長期計画は月に向いている. そのせいか ISS と 月に関するセッションはとても多かった.
hot な技術はわかりませんでした. "特になし" なわけではなく, 私が識別できなかっただけかと.
毎日8セッションが同時並行で, 1日におよそ 50弱, 会期全体では 250前後でした(全プログラムのpdf). それらが目的ごとに次の 3つにできると思いました. a)特定技術要素の研究開発, b)宇宙開発成果の応用に関する研究, c)宇宙開発の政策/方針. 私が過去出席したことのある国際会議は情報系に特化しており, この分類で言うと a) が殆どなのですが, さすがに宇宙開発は規模も関係者数も多いため b) c) が出てくるのですね.
250 セッションのうち, 少しだけ顔出したものも含め 20セッション弱に出席しました. たったそれだけから全体を語るのは良くないのですが, "研究発表" ではなく "業務報告" が多かったように思いました. つまり, "ある問題に対し私はこう対応しました. 以上です." という言い切り方をしていた. 私は 新規性, 信頼性, 応用性 の要素を含まねば研究とは言えないと教わってきました.
1個づつの説明は省きますが*1, 研究発表はこれらが証明される形で行われ, それにより同種の問題を抱える他の人が, 提案手法を即利用できるようになると. ところが業務報告の目的は, 業務目的が達成されているか否か を上長が判断することなので, 同じ組織に居ない人にとっては聞いてても面白味が減ってしまう. 残念ながらそういう発表が多かったのですが, 推測するに JAXA の技術者が多く, 彼らは純粋な研究者ではないためそうなったのではないかと.
あと英語ですべてが行われたのですが, 英語がしょぼすぎるが故にせっかくの報告内容もしょぼく見えてしまっていたように思いました.

*1:情報システム学会 神沼靖子先生によるこの点に関する著作がお薦めです