30歳過ぎから工学 vol.2

http://d.hatena.ne.jp/j130s/ から移行しました.オープンソースロボットソフトウェア技術者兼主夫. 高校・大学学部文系-->何となくソフトウェア開発業-->退職・渡米,テキサス州でシステムズ工学修士取得,しかし実装の方が楽しいと気付き縁があったロボティクス業界で再就職.現在 Texas 州内の産業用オートメーションのスタートアップに Georgia 州から遠隔勤務.

五輪選手と宇宙飛行士選抜の Web2.0

JAXA の宇宙飛行士の1次選抜が終わったようです. 筑波に 230人 の精鋭が集まり, 筆記試験と健康診断を行ったとのこと. 一方で試験と時を同じくして北京五輪が開幕. 期待通り8冠獲得した Michael Phelps 選手をはじめとして, 毎日興奮を届けてくれる選手や関係者に感謝です.
そのフェルプス選手ですが, このプレッシャーのかかる期間中にも 2, 3日に一度はインターネットを使う, と8冠達成直後の NBC のインタヴュで言っていました. また, 特にアメリカで流行している SNS "Facebook" 上の, 彼のページに対してのリンク許可依頼が一日200通以上来る, とも. その許可待ち行列の中には NBA の神様 Michael Jordan や ポップスター Justin Timberlake らも居るんだとか. 望むならば私だって同じ許可待ちの列に並ぶことができる. あのジョーダンと同じ列に並ぶことができるなんて!(やってませんが^^).
ところで本題に向かいます. 五輪選手にもそのように不可欠なネットですが, blog 等のネット上での情報発信について. 北京五輪では, 主催者である IOC 自ら, 選手の五輪についての blog 発信を条件付きで認めたらしいです.
from asahi.com 五輪中の選手ブログ解禁 自身の本音○、他選手のこと×
管理する側としては完全に "五輪に関することは一切書いちゃダメ" としてしまう方が後々議論の余地が少ないため比較的楽ではないかと思いますが, 条件付きで認めたこの判断は現状では最も妥当な気がします. 五輪憲章によって選手のメディア活動が禁止されている中で, blog が条件付き認可されたということは, 発信メディアとしてネットの地位がそれだけ高く, 社会や選手自身にとって不可欠なものであることの表れだと捉えています. 選手側にとって blog 発信の大きな目的の一つは, ファン層拡大でしょう. 有名選手が既存メディア上では中々言えないことを言う場として活用している他, マイナーなスポーツや選手でも, ファンが直接接することができる. TV であまり放送されないものの実はファンがかなりいる, という選手は結構いるんじゃないでしょうか(陸上競技棒高跳びの "Air" こと澤野大地選手は良い例と思う. 試合に行くと多くの熱烈な澤野ファンが居て驚かされます).
話を宇宙飛行士に戻します. 宇宙飛行士受験者にとってネット発信が必須である理由は正直見つかりません. したがって選ぶ側である JAXA がどうしたいかが焦点でしょう. 宇宙飛行士選抜にとってのネット発言を問題とする場合, 選抜期間中だけでなく過去にも遡る必要がありそうです. 過去の宇宙飛行士選抜の経験者であり, 現在も宇宙飛行士関連で発言を続けておられる 5thstar_管理人さんは"Web 2.0時代の宇宙飛行士"と副題が付いた日記エントリ*1, 受験内容そのものに関しての受験者による記述を規制することは当然ながら, 更に宇宙飛行士として採用された受験者の過去のネット上での発言に問題が無いかチェックすることの必要性について言及なさっており, 更に2次選抜以降は各受験者に対してネット上での発信状況について調査が行われるかも知れない, と推測されています. 一方 JAXA は今回の 1次選抜受験者に対してメディア対応法を指示したようですが, ネット利用に対する JAXA の対応方針が明確に示されるものでは無かったようです. 特に問題であると捉えていないのか, 方針を決めていないのか.
現在の宇宙飛行士受験者が blog で発信しているかどうか, 興味があってたまにネット上を探してますが, これまでのところ blog 検索エンジン*2で, 応募者自身であると内容から特定できそうな blog エントリは見付けていません. 皆さん気を付けておられるのかも. しかし某SNS内の某掲示板では何名かが受験中であることを公表なさっていますね. SNS は一応アカウント所有者だけに閉じられたコミュニティですが, これだけ利用者が増えるとあまり閉鎖感は無く, ほぼ誰でも閲覧できることと同義. 今後どうなっていくのか注目します.
ちなみに, 技術的にはネット利用者を一元管理する"ネットID"という概念が識者間で議論されていて*3, GoogleYahoo! が導入を検討もしているようですが, まだ手探り中である感があります. 管理する側へのメリットが大きいのは解るのですが, 利用者へのメリットが不明ですよね...
もしかしたら前述の JAXA による マスコミ対応指示は, "(半ば公人である宇宙飛行士に応募するからには)問題となり得るような発言は控え, 過去に既に行っている場合は削除しておくように" という, 自己責任を促すものなのかしら. どんなに高度な技術があろうが個人特定能力に限界はあります. しかしそれでも受験者の皆さんは, 今後の発言に気を付けるだけでなく, 過去の自分の発言を見返しておく必要がありそうですね.

*1:今日の私の日記の題もこれをもじらせて頂いた

*2:technorati.jp を利用.

*3:ネットID に関する Cnet Japan 上での議論