30歳過ぎから工学 vol.2

http://d.hatena.ne.jp/j130s/ から移行しました.オープンソースロボットソフトウェア技術者兼主夫. 高校・大学学部文系-->何となくソフトウェア開発業-->退職・渡米,テキサス州でシステムズ工学修士取得,しかし実装の方が楽しいと気付き縁があったロボティクス業界で再就職.現在 Texas 州内の産業用オートメーションのスタートアップに Georgia 州から遠隔勤務.

テキサス大学を選んだ理由

ところで, 何故テキサス大学を選んだのか, よく聞かれるので理由を示しておきます. 自分にとっても, 理由を改めて整理することで気付くことがあり, 有意義でした.

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まず今回は代理人経由で渡米することを選びました. 通常社会人が海外に進学する場合, 勤務先の資金で行く場合を除き, 多くは自力で外国の大学とのすべてのやり取りを行うのではないかと思います. いかに不慣れなことだらけとはいえ, 渡航・進学するくらいの気持ちがある社会人にはそれだけの能力があるし, 無駄なお金を払いたくないと考えるのは普通だからです. しかし私はそれらの手続きを避けるために敢えて代理人にお願いしました.
その代理人が進学先候補として提示してきたのが, アラバマ大学ハンツビル校(UAH) と テキサス大学アーリントン校(UTA) の 2校でした. 何故この2校だったのかに関しては長くなるので詳細は省きますが, 私が今後進みたい航空宇宙分野に比較的強い点と, 米国の宇宙開発拠点に近いことが共通します. 特に UAH が隣接するマーシャル宇宙飛行センター(MSFC) は, Apollo 計画のロケット "サターンV" の開発が行われた地であり, NASA の四大拠点の一つと言っても良い場所. 毛利衛さんも一時籍を置いていたことがあるなど, その歴史は宇宙に進みたい者にとって垂涎ものです.
さて, 結局次の3つの理由によって, 2校から UTA を選びました.
1. 共同研究先あるいは就職先として候補となり得る大企業が多い地域(ダラス)に近い
2. research よりも engineering に強い, という印象がある
3. 日本での知名度がより高い地域(テキサス州, ダラス)に在る

補足. 多くの点を比較してみましたが, 私にとって判断の決め手になった2校の違いは上述の3点でした.
1点目について
私は将来再び企業で働くつもりでいます. これまで企業人として仕事を続けて来たのを, 学生になったために1度切ってしまうのは, 再就職時にマイナスに働く場合があると考え, 企業との共同研究やインターン等の有償労働の機会が UTA の方が多そうだと直感的に思いました.
また就職を米国ですることも選択肢に入れていて, インターネット時代であっても地の利は強いと考えていますので, 大企業の本拠地が多数あるダラス近郊は良いと思いました.
2点目について
1点目より更に確証の無い判断です.
MSFC のここ最近の活動に対して, モノづくりというより研究所というイメージを持っています. また, 代理人に面談頂いた際も, UAH は研究に注力しているという点を強調くださったと覚えています.
私は将来, 純粋な研究者ではなく, 研究経歴のあるエンジニアとして貢献していきたいと考えており, よりエンジニアリングの評価が高そうな印象がある UTA を選びました.
また, NASA の宇宙飛行士を複数人輩出している, という点も, この印象を持った一因です(エンジニアリングの才があると宇宙飛行士の業務遂行に役立つとされている).
3点目について
これはある意味偏見のようなものですが, 少なくとも私の周囲の人の間では事実でした.
今回の進学では, 多くの日本人が聞いたことのある地域に行きたい, と考えました. 知っている地域だと, 今後他人と会話をした際に話が膨らむ可能性が高くなるためです.

以上が理由とその補足です.

しかし, なかなか決断できず, かなり悩みました.
特に MSFC は宇宙好きにとって聖地のような場所ですし, 今後宇宙開発に携わって行きたい私にとって, NASA との距離をこれ以上ないくらい近くできる場所なだけに捨て難かったです.
もし, 今後の就職先を宇宙だけに絞ったのであれば, UAH に進んだと思います. しかし今回は宇宙は one of them と捉えたため, 上述の基準を設定して決断しました.



とはいえ, 来年か遅くとも再来年には別なところに移るつもりですが, それについてはまた.