30歳過ぎから工学 vol.2

http://d.hatena.ne.jp/j130s/ から移行しました.オープンソースロボットソフトウェア技術者兼主夫. 高校・大学学部文系-->何となくソフトウェア開発業-->退職・渡米,テキサス州でシステムズ工学修士取得,しかし実装の方が楽しいと気付き縁があったロボティクス業界で再就職.現在 Texas 州内の産業用オートメーションのスタートアップに Georgia 州から遠隔勤務.

数学教師の好き嫌いがちょっとはっきりした.

3週間前に終わった夏学期に履修した微積分IIの教官は, 数学科ではなく工学部土木工学科のイラン人でした. 彼のバックグランドは一体なんなのかよく分かりませんが, 過去に教えたことのある教科は土木工学関連は勿論のこと, 微積分, 線形代数微分方程式等の数学からはたまた計算機科学・工学科での離散数学アルゴリズム論にまで及んでいて, "基礎的な自然科学の知識は工学に幅広く応用ができる"というごく普通の常識を体現してる感じです. 授業はそれらの豊富な知識を元に, これから教える数学的手法が現実社会ではどう使われてるかの応用例を話してくれる. 以前書いたかも知れないけれど, 元来数学や試験問題を解くこと自体に興味の持てない私としては, 応用例を示されるとモチベーションが上がります. ネイティヴでは無いかなりスローな英語も相まって, この1年で習った数学の教官の中で最も理解がし易かった. 数学科の先生を否定するわけではないです, 限られた時間内でコンセプトを山ほど説明しなきゃならないから, 応用例の話なんてしてられないでしょうし, 邪推だけど数学一筋の方には応用の話そのものも難しいかも知れない.
先週から始まった秋学期での微積分IIIの教官はまた数学科の米国人の方. これから説明する例題は一体何を知るためのものなのかもよく説明してくれないまま授業が進む. それでも多分周りの学部生にはこっちの方が良いんだろうな, レベルIIIまで上がってくる学生ともなると, みんなよく勉強してそうだし.
というわけで数学の授業は工学(或いは数学以外)のバックグラウンドを持ってる教官に教わるのが私の場合は一番良さそうですが, 実際なかなかそういう方が担当することは多くないし, そろそろ純粋な数学の授業は履修終わってきた. 気付くのが遅過ぎたのでせめて blog に書いて(日本語の)世の中に一案として共有します.
ちなみに上述のイラン人のモスタファ先生は, 板書を書くために一切メモや教科書を見ない. 膨大な例題やその中で使う値がすべて頭に入っている! ちょっと笑けてくるくらい凄いです. 学内のスタバでよくお会いするので聞いてみたけど, "アー, この授業は何度も教えてるからね..." といつものユックリ英語で一言だけ言ってくれましたが,あれ,前回微積分II教えたのは7年前って言ってなかったっけ???キャンパス内外いろんな所で目撃されてたり, ド派手なスポーツカー乗ってたり, 何かと規格外な方です. 米国のトップ校ともなれば,教官がノーベル賞級だったり,よく使われる教科書書いてる人だったりと,授業履修できること自体がある種光栄なこともあるでしょう. 有名人を教員に迎えるのが好きな KO 大学でもありました*1. さすがにこの三流校ではそういう additional motivation はありませんが, 今回のように凄いなと思える人は居る. 世の中広いな.

*1:ピーターパンシンドロームを日本に紹介した故・小此木啓吾先生や CM 製作の佐藤雅彦先生, KO を受験するきっかけになった外国語教育本の故・関口一郎先生, そしてバレーボール日本代表三屋裕子先生等...