30歳過ぎから工学 vol.2

http://d.hatena.ne.jp/j130s/ から移行しました.オープンソースロボットソフトウェア技術者兼主夫. 高校・大学学部文系-->何となくソフトウェア開発業-->退職・渡米,テキサス州でシステムズ工学修士取得,しかし実装の方が楽しいと気付き縁があったロボティクス業界で再就職.現在 Texas 州内の産業用オートメーションのスタートアップに Georgia 州から遠隔勤務.

エンジニアリング 米国式 vs 日本式?

あなたは米国式それとも日本式?以前仕事でお会いしたソフトウェア開発コンサルタントをなさってる方のコラムより. 右が日本, 左が米国.
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20061226/257761/?ST=system


●以下の対比を考えましょう。
 戦略   vs 現場
 鳥の目  vs 虫の目
 狩猟民族 vs 農耕民族
 機能分化 vs 価値分化
 個人主義 vs 集団主義
 神    vs 世間・恥・村文化・緊密な人間関係
 一神教  vs 多神教
 要素還元 vs 創発・ホロン
 ドライ  vs ウエット
 演繹   vs 帰納
 形式知  vs 暗黙知
 議論   vs あうんの呼吸
 論理   vs 直感
 明確   vs 曖昧
 白黒   vs 灰色
 改革   vs 改善
 独創   vs 協調
 短期   vs 中長期
 差別化  vs 横並競争
 創造力構想力     vs ワイガヤ大部屋合宿
 ディジタル思考    vs アナログ思考
 デファレンス     vs 同質性
 マニュアル      vs モチベーション
 プロデューサ     vs デレクター
 トップダウン     vs ボトムアップ
 ゲゼルシャフト    vs ゲマインシャフト
 言葉の重要性     vs 大事なモノは言葉で言えない
 ポジショニング    vs ケーパビリティ・組織能力
 契約社会・市場    vs 長期雇用・ケイレツ・一気通貫
コンセプチャル・天才 vs 極める心匠熟練
体系化抽象化モデル化 vs 具体的・泥臭い・木目細かさ
 分業・アウトソース   vs 自社内・ノウハウの蓄積
 規格大量コモディティ vs ハイエンド・多品種小量
 付加価値競争     vs コスト品質の消耗戦
 米国的  vs 日本的
 モジュラー組み立て vs 擦り合せ調整
 オブジェクト技術  vs COBOL型思考

 右と左,どちらが自分にシックリ来ますか?若い人達は違うかも知れませんが,多くの日本人は右ですね。

私はこの対比を眺めるまでもなく以前から, 自分は米国的なエンジニアリング方式の下で前職で訓練して頂いてしたし, 実際しっくりくると感じていました(だからより体系的に学ぶ必要性を感じたため米国で学位取りたいわけでもある)が, 今回この対比を改めて見てやはり自分は米国式の側ですね. しかしながら一方で, 仕事人としては(アメリカでは必ずしも簡単には受け入れられない)日本的な性質をいっぱい持っていることも渡米後気付きつつある. やはり大学院では米日比較が一つのテーマになることは間違いなさそうです.
米国はモジュール化がお得意というのは, 前職で扱っていた企業用検索エンジンソフトウェアの設計一つ見ても頷ける話でした. 数社の製品を比較する機会がありましたが, 米国の大企業二社による製品 O と G は, どちらともきっちり綺麗に機能でモジュールが分かれていて, モジュールごとに分けて販売すらできそうな状態でした. 私は美しいとすら思ったし, あのような設計思想はその後の自分に確実に影響を与えています. 一方企業向け検索ソフトとして日本で最も販売実績のある C は, 内部的にはモジュール化されていたんだろうが, 利用者向けにはいまいち線が引かれておらず, 米国製に慣れた私には不満でした. なお, モジュール化がしっかりなされていることと, 運用しやすさとは, 企業用検索エンジンソフトに関しては必ずしも比例しなかったのがとても面白い発見でしたが, それは元上司らがその後論文にしてそうなので触れません.
Irving 市のタイ料理屋さんにて. Slurp とは日本人が蕎麦を食べる時ようのように "(音を立てて)すする" の意味ですが, "Slurper" なんて英語でなかなか言わないようです. 日本語メニューだったら "ずるずる部門" てな響きかしら.