30歳過ぎから工学 vol.2

http://d.hatena.ne.jp/j130s/ から移行しました.オープンソースロボットソフトウェア技術者兼主夫. 高校・大学学部文系-->何となくソフトウェア開発業-->退職・渡米,テキサス州でシステムズ工学修士取得,しかし実装の方が楽しいと気付き縁があったロボティクス業界で再就職.現在 Texas 州内の産業用オートメーションのスタートアップに Georgia 州から遠隔勤務.

正しい最終結果のみ受け付ける (計算ミスしたら 0点)

機械&航空工学科で履修している, 微分方程式の教師の言葉です. いや, 正確に言うと彼がインド工科大学(IIT)の学部生時代の数学のクラスのポリシーだそうで.
最終的に算出した値のみで採点されること自体はマークシート方式も同じですが, 多くの理工系のペーパーテストでは, 結果に至る過程に対して部分的に点数をもらえるのが普通です. まして微分方程式は1問解くのに30分以上かかるのも珍しくなく, 煩雑な計算が多ければそれだけ不注意ミスも増えるため, 部分点に頼るのはなんというか当たり前だと思います.
しかし上述の教師の教師曰く "計算をミスしたら工業製品は期待通りに動かない. 動かなかったらエンジニアリングとは言えない. だから計算ミスは認めない" という論理だそう.
その通りである.
似たことを, 前職で上司に言われたのを思い出しました. 報告伝達のメイルから仕様書作成に到るまで, 曖昧な表現が多い私の日本語を見て "コンピュータは曖昧さを理解しない. だからエンジニアに曖昧さは要らない" と繰り返し教わりました.
ペーパーテストとエンジニアリング業務の違いは, ペーパーテストには決められた(非常に短い)時間内で解答するという縛りがあり, 実際のエンジニアリング業務には時間制限はあるもののどちらかというと納期までの中長期的な時間制限が主であり, 短期的なストレスはそこまで高くない, という点でしょうか. ペーパーテスト並に厳しい時間制限があるエンジニアリングタスクというのは, アポロ13月宇宙船の通気口のアダプタや航行シミュレーションを数十時間内に作らねばならなくなった人達を想起してしまいます. とはいえ, エンジニアリングにおいては実際は時間との短期的戦いになることは珍しくなく, アポロの例まではいかなくとも私の仕事でも納期前等の修羅場というのはそういう物でしたし, エンジニアである限り今後もそういう経験はするんだろう...
或いは, 前言を自ら否定するようですが, (エンジニアリングに限らず)業務をペーパーテストを解くような集中力で行っている人が居るとすればその人達はものすごい生産性でしょうね. ひょっとしたら競争社会ってそういうもの?もしそうなのだとしたら呑気にこんなことを書いている私はかなりとんまだな...
計算の正確さに関連して, 大量に出てくる定理やら公理やら公式やらについて, 何を覚える必要があり何は覚えなくても良いのかを考えるとき思うのですが, 公式は覚えなくても良いから定理公理や概念は覚えるべきではないかと. 実業においてもし問題現象に直面した際に, その現象はどの定理が当てはめられるものなのかを思いつくのは, できるだけ早い方がが良い. そしてそれさえできてしまえば公式は本でもネットでも開けばすぐ出てくる. これが学校のペーパーテストだと逆ですよね. 定理や概念を必ずしも100%理解していなくとも, 使う公式を間違えなければテスト問題は解ける. 逆にコンセプトを理解してても問題が解けるとは限らない. どこかしら残念ですがそれが現実です.
というわけで, 私はあまりに中途でのつまらない計算ミスが多いので, 計算の正確さを自分に今一度認識させるためにも徒然書いてみました. そして, コンセプトもテスト問題も両方理解できるようになりましょう〜.

最近の北テキサスは最高気温20℃超え. そろそろ韓国冷麺が旨い季節です @ Chosun Kalbi BBQ, Dallas.