30歳過ぎから工学 vol.2

http://d.hatena.ne.jp/j130s/ から移行しました.オープンソースロボットソフトウェア技術者兼主夫. 高校・大学学部文系-->何となくソフトウェア開発業-->退職・渡米,テキサス州でシステムズ工学修士取得,しかし実装の方が楽しいと気付き縁があったロボティクス業界で再就職.現在 Texas 州内の産業用オートメーションのスタートアップに Georgia 州から遠隔勤務.

米国就活と授業との関係.

秋学期が終わりました. 米国で秋学期 (八月終わりから十二月中旬まで) を経験するのも三度目でしたが, 今回は長く感じました. 沢山勉強したからか?ということで意味不明に片付けつつw, 反省は別な機会でやるとして, 今日は今後の授業履修の話を.
来学期以降の履修科目のことで色々想い巡らせています. 米国内に絞った就活を今月から始めますが, 履修授業は就活とかなり関係があり, 既に登録済の来学期の分を含め再度履修クラスを検討した方が良さそう. その理由は少なくとも二つ思い付きます:
(1) GPA (成績平均点) が低くなると就活に著しく不利らしいので, いい成績があまりにも見込めないクラスは必須でないのなら興味があってもとるべきでない (私の場合の例. 計算能力を求められる宇宙航行工学は諦めました. 履修前提である動力学の試験があまりに悪すぎ, 同様の惨事が想定できるため...)
(2) 米国企業の(少なくとも)工学系採用は即戦力を求めており, 所有スキルを判断するのに学部/大学院の履修科目は材料になるらしい
ここで (1) の GPA は米国で学生をする以上誰でも気にする事ですが, ただ単に GPA が下がるからという否定的理由で授業の履修を諦めることはきっと少ないのでしょう, やりたくてしかも必要だと思うのなら難しくても頑張れよという話なので. むしろ工学学生にとって大事なのは (2) でしょう*1. この点において, 友人から参考になるリンクをもらったので紹介.
http://wofwof.blog60.fc2.com/blog-entry-187.html


アメリカで資格が重要なもう一つの理由は、
アメリカの大きな企業では従業員の役割が明確に決められており、従業員は既に持っている知識を活かして、迅速に仕事をを進めることが求められるからだ。特定のスキルは、もちろん資格に限らないが、最低限の知識を持っているかどうかを探るのに資格というのは都合が良い。

アメリカでは、頭のいい人だったら1ヶ月で簡単に身につけられるようなスキルであっても就職時の選考に関して決定的な差となってしまうことがよくある。日本的に考えるとなんとも馬鹿らしく思えてしまうが流動性の高い労働市場を持ち一般労働者の意欲が高くないアメリカでは企業はポテンシャルよりも即戦力の高い人材を求めざるを得ないのだ。

私も, 学科のアドバイザ(軍事機器大手の Raytheon 出身)に "就活をできるだけ早くしたく来学期にでも働き始めたい" と伝えたところ, あと一学期待って Systems Engineering (SE) の必修クラスを三つ履修した後の方が企業に向けてアピールし易いよ, と言われ, 当時はどういうことか分かりません(= 企業側が学校の授業にそこまで価値を置かないと考えていた. 日本の非理工系の常識...)でしたが, どうやら上に書いてきたことと同じことのようです. それにネットで見られる米国の博士課程の学生の履歴書によく履修授業が載ってるのも同じ背景なのかなと.
さて, そういう状況を踏まえ, ではどういうクラスを履修すべきか. SMU の大学院 SE プログラムは五十個前後のクラスが用意され(数年に一度の開講もあるが), 工学部内の他の専攻の授業を履修しても卒業単位に認められ(アドバイザの承認は必要. どの授業を申請しても承認されるようですが.), 実際私も今期は計算機科学・工学科の授業を採りました. 興味を惹かれるクラスは山のようにあり悩ましいのですが, 上記のような就活の状況があり, この分野はがっつりやりましたという武器を持つのが望ましく, ある程度方向性を決めるのが妥当なのかなと. 秋学期の授業を経た限りでいうと, 学校の授業だとバカにはできず*2, なかなか手にスキルを付けるトレーニングが出来たと感じており, 方向を絞ることはそれはそれで学生をやってる意味は十分あると思えます.
ただ一方で, 今後成りたいシステムズエンジニア*3 像に近付くための履修でなければならない. 広範な技術領域が関係するシステムの設計に携わるシステムズエンジニアには幅広い知識が欠かせないが, 幅広く浅く知識を付けるという事と, 武器になるコアスキルを身に付けるという事は二年間で同時に成立し得るのか不安もある. せっかく学校という, 色々な分野を眺めることが可能な環境に今いるのでできるだけ利用したいのですが.
米国での Systems Engineer 業務を経験してないということもあり, Must な知識と, そうでない Should better なものとがわかってないので, 大学院のアドバイザや SE として働いている先輩方とも相談するなどして, 方針を決めていきます.

ツナが最近ひざ上で寝るようになりました. けっこう熱い.

*1:MBA, 公衆衛生その他実務スキルに重点をおく大学院でも同様と聞いています.

*2:学費安くないし時間も膨大に費やすので当然だが.

*3:何度も書いてる気がしますが, 日本でいう "システムエンジニア" は英語では Software Engineer が一番近い. 英語の Systems Engineer はざっくり言ってしまうと日本のプロジェクトマネジャー業務のうちプロジェクト管理業務を除いた技術的・戦略的業務の専門家.