30歳過ぎから工学 vol.2

http://d.hatena.ne.jp/j130s/ から移行しました.オープンソースロボットソフトウェア技術者兼主夫. 高校・大学学部文系-->何となくソフトウェア開発業-->退職・渡米,テキサス州でシステムズ工学修士取得,しかし実装の方が楽しいと気付き縁があったロボティクス業界で再就職.現在 Texas 州内の産業用オートメーションのスタートアップに Georgia 州から遠隔勤務.

既存教育の,オンライン授業が脅威となる部分

オンライン授業ウォッチャーの j130s です.Ivy の学校も続々オンライン授業 Web サイトで授業を開講し始めてて,Harvard が来るのも時間の問題でしたが,発表したみたいです (NY Times)Coursera (Princeton, U.Penn,UC Berkely, Stanford 等がここで開講) や Udacity 等との違いは明らかではないようですが.
今日は,オンライン授業が充実してくるにつれて再考されるべきかもしれない既存の教育について触れてみます.
この NY Times の記事で,私が常々気になっていた点に少し触れられてます:


Education experts say that while the new online classes offer opportunities for students and researchers, they also pose some threat to low-ranked colleges.

“Projects like this can impact lives around the world, for the next billion students from China and India,” said George Siemens, a MOOC pioneer who teaches at Athabasca University, a publicly-supported online Canadian university. “But if I were president of a mid-tier university, I would be looking over my shoulder very nervously right now, because if a leading university offers a free Circuits course, it becomes a real question whether other universities need to develop a Circuits course.”

簡単に言い換えると,(単位はもらえないにしても) Top スクールの授業が無料で受講できてしまうと (上の引用では MIT が今春開講した電子回路の授業が例に挙がっている),Top と見なされない学校の授業の意味は問われてくるね,ということで.
私個人的には,分野特化で恐縮ですが Computer Science の修士であれば学校の学位プログラムにわざわざ大量の時間とお金を費やして入学する意味はかなり薄れてきたと思っていて,トップ級でなければ尚更です.Top 校の学位はそれ自体の市場価値が高いし,周りの学生も優秀ですから刺激になるし,優秀な学生目当てで学校に来る企業との接触も多いので,授業以外の付加価値が多い.しかしながら Top 以降となるとそのような付加価値は担保されない (今いる学校の工学部は米国内 70 - 100 位前後で,ここを見ていると残念ながらそのように言わざるを得ない).そうであれば時間とお金とのトレードオフでオンラインで学ぶことは十分選択肢に成り得ます.
そもそもこれらの新興オンライン授業は (以前も書いたが),ネット世代というか,効率や快適さを重視した設計になっていて (頻繁なクイズ,受講者とのオンラインフォーラムの充実等),学びの経験の質から言っても既存授業に対抗しうるものになっている.
学校名のブランド主義 (有名校の教員・授業ばかり盲目的に評判が上がる) に陥る危険性もあるかも,とは思いますが,そもそも Top 校の教員の方々は飛び抜けて優れていると考られるはずだし,授業内容の評価がオープンになることで,無名校の教員が受け持つ授業でも評判を得ることは大いに可能なはず.何より,有名校の授業に断片的にでも触れられるというのは,機会が持てない人 (含むワタシ) にとって間違いなく有りがたい.
あと,別な視点として,学部低学年の大教室での授業も再考されるべきな気がします.Coursera では Liberal Arts のクラスも開講していてエッセイも自動採点されるらしい *1.大教室授業の非効率さ・効果の薄さは生徒も先生も日米問わず感じている所でしょうから,今後真っ先にオンライン授業と入れ替わるかも,などと考えてます.
私は修士を今月で卒業 (!) しますが,Computer Science はじめ自分に足らない分野がまだまだ沢山あるので,仕事の合間にどんどん受講していくつもりです (早く期末試験終えて溜めちゃってるオンライン授業受けたい!).
オンライン授業が In-class の授業をすべて駆逐するとは思えないし,推進者達がそうしたいわけでもないでしょう.教師や学友との濃く深い学びが実現されているのであればそれは素晴らしいし,博士号なんて遠隔では無理でしょう (遠隔で博士号取れます!と謳ってる取組みはあるけども個人的には信用してません).適材適所がより進んでより実のある学び・教えが促進されるはず.まったく目が離せません.
牛骨カレー.骨髄旨い.アメリカの牛の骨危ないって?韓国料理屋とかじゃんじゃん使ってるし良いかな,,,と思ったのですがどうでしょう.

*1:文章の自動採点はそもそも GMAT では 10 年くらい前から採用されていて,実績のあるフィールドらしい.