30歳過ぎから工学 vol.2

http://d.hatena.ne.jp/j130s/ から移行しました.オープンソースロボットソフトウェア技術者兼主夫. 高校・大学学部文系-->何となくソフトウェア開発業-->退職・渡米,テキサス州でシステムズ工学修士取得,しかし実装の方が楽しいと気付き縁があったロボティクス業界で再就職.現在 Texas 州内の産業用オートメーションのスタートアップに Georgia 州から遠隔勤務.

スタートアップ企業への私的感想

日本ではよくベンチャー企業という言い方をされる,新しく立ち上がったばかりの企業,米国では start-up company もしくは単に startup と言う事が多いです.Startup と呼ばれるのは,単に"新規企業"というだけでない気がしますね.例えば Dallas だと新しく会社を立ち上げてもこうは呼ばない気がするなあ.何ででしょう.
いづれにせよシリコンバレーに居ると無縁ではない.私も最近ついに人生初めて誘われました.WEB のサービス.ただでさえ就活中だったのでありがたい上に,連れが居るのでできれば Dallas に残りたい私に,遠隔でもええよ,というありがたいオファがあった.
元々,自分に合ってるかどうかは別として,Startup という存在には,二十代中盤で Software Engineer として働き始めて以降漠然と憧れています.他の社員と熱い気持ちをシェアしながら目標に突き進む感じね (だから私は昼夜関係なく働くことに違和感を持ってません).とはいえこの歳で追い求めるべきシロモノでもない気もしてますけど.
ただ,そういうポジティヴな状況はありながら,今回は見送りました.懸念の一つは給与がしばらくでないとのこと.利益が出ないうちは投資が得られない限り給与が出ないというのはまあそれはそうなのでしょう.私は二十代だったらともかく今は歳も歳だし,よっぽどやりたい仕事じゃない限り無給じゃやれない.それに無給で不安なのは責任や契約が不透明になった場合,予期しないこと (突然の解雇?というか) があっても反論できなかったりしそう.そうはいいながら,もし Dallas 勤務でいいのなら物価も California に比べれば安いし,今回に限っては実はこれは我慢できる範囲内.
我慢出来なかったのは,誘ってくれた人に対する疑念.話を拝聴し,頭が良さそうなのは文句無く,実際彼は現在トップスクールの MBA コースに通っていることでも明らか.彼のサービスの案が面白いものであることに私なんぞが異論を挟む余地は無い.だが無視出来なかったのは,Startup を本気で成功させるつもりならそれに集中すべきなんじゃなんじゃないの?と.学校通ってる場合なのか?そしてよく遊びにも行ってるっぽいし.まあ,頭も要領も良い人は私とは異人種なので,適正な息抜きをしつつ成功させるのかも知れんけども.でももし仮に私が無給のまま彼のチームのメンバとして,土日も働いた時に彼が遊びに行ってるのを Facebook に投稿してたりしたら,気持ちを保つのは難しい場面も出てくるでしょう.上でも触れましたが Startup で働く気持ちの源は熱意の共有だと私は勝手に思ってるので (違う?),そういう,気持ち周辺にヒビが入るとまず無理かなと.
Shark Tank という,視聴者がプレゼンして投資を得る TV 番組が好きなのですが,投資家サイドで出演している NBA Dallas Mavericks オーナーの Marc Cuban 氏は,賛同できるアイディアを持つ起業家に,やる気を測る質問をよくする.いつだったかある回では,Startup のうちは年収は $50K (4,500 万円) 未満で良いからとにかく汗して労働するのを厭わない奴じゃなきゃ投資できない,と自らの起業経験と重ねて強い非難の言葉を浴びせてました.
てことで,知見不足ながら感想をつらねましたが,Startup への憧れに関して結論づけると,憧れは憧れのままにして置いておこうかと.やはり自分はそういう,誰も通ってない土地を切り開いていく的なタイプではない*1ので.



Startup とは道なき所に道を作ることだとすれば,この写真の,道にとつぜん枝が生えてきた状況は一体何となるのか?

*1:私は,誰か数人が通って,安全はある程度確かめられたけどまだ成功かどうかは全然分からない,そんな状態で後に付いて行き,拡大していくタイプかなと.ニッチだなと.