30歳過ぎから工学 vol.2

http://d.hatena.ne.jp/j130s/ から移行しました.オープンソースロボットソフトウェア技術者兼主夫. 高校・大学学部文系-->何となくソフトウェア開発業-->退職・渡米,テキサス州でシステムズ工学修士取得,しかし実装の方が楽しいと気付き縁があったロボティクス業界で再就職.現在 Texas 州内の産業用オートメーションのスタートアップに Georgia 州から遠隔勤務.

つまみ食い議論だと深まらない (集団的自衛権容認騒動に思う)

最初に認めますが政治はじめ日本国内ニュースを熱心に追っていないので,認識が極めて甘いかも知れませんがご容赦を.

久しぶりの日記投稿がなんとおそらく史上初の政治ネタ.日本の防衛方針が変わるかもとあってはさすがに関心を持たずにはいられません.明日も仕事で早いのだが大事な話,書いておきたい.

一応問題意識持ってる人のブログっぽく見せるために,記事へリンクなどしてみます.

特集ワイド:集団的自衛権、どこか人ごと!? なぜ議論が盛り上がらないのか -- 毎日新聞

この記者さんは良いですね;私のような意識低めの市民ですら今回の騒動について思う沢山の "おやっ??なぜだろう","うーんここがわからない" とかをずばずば攻めている.

さて,私が今回話題にするのは,政府の決定内容そのものはではありません;決定内容 (集団的自衛権の行使容認解釈) について意見するにはまず色々な背景を理解してからでないと意味がなく,私は未だ色々解ってなさすぎる.そうではなくて今回気になったのは,議論が急に始まったように **見える** こと.

私情ですが結婚しまして,妻はアメリカで仕事をしており私の仕事場は日本.比較的私の仕事のほうが融通が利くため私がアメリカと行ったり来たりすることにしており,今月も私が彼女を訪ねていて先週帰国したばかりでした.帰ってきて早々にテレビで突然,安倍政権がこんな大事な決定を数日後に行うと,初めて知りました.

しっかり日本のニュースに関心を持ち続けている人なら,"違うよこの件はもう数カ月も国民レベルで議論が続いているよ" というかも知れない.そうであって欲しい.私が間違ってると思いたいけど,私にはついここ一,二週間でメディアが本格的に取り上げだして始まった議論なのでは?と思ってしまった.国民レベルでの関心事は Facebook (FB) 上での投稿の多さから知ることが実は多いですが,二週間前にこのことを FB で複数回取り上げた自分の FB 友人は多くないように見える (これもすいません,FB そんなにチェックしないので不正確です.べつに話題にしなかった FB 友人を責めるつもりは毛頭ありません!そこが私の関心ではない).活動的に発信や抗議活動を行なっておられる方も存じてますし,書かないだけという人が実際は殆どだろう,しかしここではあくまで "一般的な発信量" を話題にしています.

ほんとのところどうなのか.日本は (アメリカもそうだし,それで全然良いと思うけど) 国民レベルの関心事になる事象はメディア次第だと思う.なのでニュースメディアがどれだけ "集団的自衛権" について取り上げてきたか,数字を出してみる.

自分は日本の三大紙からは毎日ダイジェストメイルが届くのですが (ちゃんと毎日読めよ自分!),"集団的自衛権" を含むメイル件数を月別に調べた:


2014年
6月: 78件
5月: 81件
4月: 38件
3月: 26件
2月: 21件

さすがにここ一,二週間ということはなかったが,二ヶ月前から急にスパイクしてるように見える.

"自分に届くメイル件数" じゃあまりにも個人的すぎるので,Google Trends を使ってみた;2014年7月から過去12ヶ月の結果.

(Google Trends へのリンク)

閣議決定前最後の一週間の報道量を 100 とすると,その前週は 14.五月に一時的に 28 になったりもしてるが,超直近に突然議論が増えたほかは,全体的に低いように見える.

二つの情報ソースどちらもが,直近のみの急な盛り上がりを示しているように見える.


だらだら書いてきたけど時間も無くなってきたので,日本世論についてずっと気になっていたことを.

日本社会や国民について良い点/素晴らしい点は山のようにあると思うけど,一方でまずいと思うのは,大事な議論が突然始まり,短期間で終わること.

国政選挙の度にずっと感じていて,特に六年前からアメリカに住むようになりその違いに気付きました; かの国では4年に1回の大統領選挙を,ほぼ1年前から行い,その間当然のごとくテレビのトップニュースは大統領選になる.かなり飽きる.候補者は家族含めて身ぐるみ剥がされる.ミシェル・オバマの髪の巻き具合の微妙な違いにも気付くようになる (注: ならねーよさすがに).かなり飽きるし,長過ぎ・力使いすぎ,という点に批判もあったりするんだろうけど,一方でそのくらいエネルギーを遣って決める大事なことなんだという意識も国民に植え付くと思う (私程度の意識ヒクオにすら関心を持たせるくらいですから).アメリカに住んでる多くの人が大統領選について FB ポストするとは限らないけど,みんな何かしら思いを持つ.持ち続ける.選挙戦の一年の間.

一方日本.国政選挙の報道は一ヶ月くらい前から突然活発になる.その間は FB ポストも選挙がちらほら話題にされる.そして選挙が終わると,二週間後には誰も選挙のことは書かない.食卓で話題になっているかは知り様が無いですが.

繰り返しますが国民批判ではありません."私は気になっている" というだけです.私はアメリカに割とカブれている,アメリカン・カブレラ (元西武?) ですが,当然アメリカを盲目的に肯定する気はさらさらないです.しかし,こと重大案件へのコストの割き方,国民の巻き込み方については,なるほどなあと思う.日本は今のこの "つまみ食い" 方式では国民レベルの議論が深まらないのを懸念します.

政局の中に居る方々はどうなのかは,まるで想像もつかない,けれども,毎年首相が変わっている最近の十年間では,なかなか集中して最重要項目の検討が進めることができているのか,心配に思う.

この問題提起が仮に妥当だったとして,どう解決すれば良いのか?は私の範疇を軽く超えますが.

最初にも書いた通り勉強不足野郎の戯言ですので認識不足/誤認があるかと思いますがご容赦下さい.