30歳過ぎから工学 vol.2

http://d.hatena.ne.jp/j130s/ から移行しました.オープンソースロボットソフトウェア技術者兼主夫. 高校・大学学部文系-->何となくソフトウェア開発業-->退職・渡米,テキサス州でシステムズ工学修士取得,しかし実装の方が楽しいと気付き縁があったロボティクス業界で再就職.現在 Texas 州内の産業用オートメーションのスタートアップに Georgia 州から遠隔勤務.

宇宙飛行士応募者数確定. 本気受験者数は?

http://5thstar.air-nifty.com/blog/2008/06/963_ab8e.html
JAXA が応募を締め切りました. 応募人数は963名だそうです. 採用が3名なので, 倍率は丁度321倍ですね.
最年少は19歳の女性だそうで, "3年以上の実務経験" "自然科学系の大学学部卒業済" という基準を満たしているとは考えにくい. したがってこの応募人数は, 所謂 "記念受験" 者も含んでいると考えて良いでしょう.
応募者数が明らかになると, 次に受験者にとって気になる値は "本気の応募者の人数", ではないでしょうか. 受験者にとっては, その人数が判ったところで具体的対策が採れるわけでも無いかも知れませんが, 気になるものは気になるのです. 正直言って外部の人間が知る術が無い気がしますが, 次の様な方法で推定を試みます.
ここでは, 昨年実施された韓国の宇宙飛行士選抜試験を例にとります. 1)応募書類提出者数 と, 2)提出後最初に実施されたマラソン試験当日の出席者数 とを比べることで, 実際にやる気がある人の割合を出します. 実績値は以下のサイトから取ります.
South Koreans race for space: http://www.nature.com/news/2006/060904/full/news060904-17.html
それぞれの値は次の通りです.
1)応募書類提出者数: 36,000人 ... a
2)マラソン試験当日の出席者数: 3,300人 ...b
したがって b/a ≒ 1/12 ... c
これを今回の JAXA の応募人数 963 に掛けると
963 x c ≒ 80.25 人 ... d
となりました.



c の本気比率は, 韓国での数値としては妥当でしょう. むしろ max 値であり, 更に小さな値になるでしょう. 3km程度のマラソン試験に行くくらいは, 本気でない受験者にとっても大した労力では無い気がするためです.
今回の御題である d の本気受験者数の結果は, あまり妥当とは感じられませんね...もっと多いだろうと思います.
上述の通り本気比率は韓国での値としては妥当性がありますが, 日本とは事情が違う. 宇宙飛行士試験にしろ司法試験にしろ, 資格/採用試験における応募者総数と本気受験者数との比率は, 異なる国でもある程度同じような値になるのではないかと思ったため今回の方法で計算してみました. しかし韓国の応募者数が万人単位なのに対し日本は千人未満. 桁が二つ違う! 韓国の国民数は韓国5千万に対し日本1億2千万と半分以下です. なのに, 応募者数は日本のそれの37倍でした. なぜだろう*1 *2. 先日の ISTS2008 で韓国航空宇宙研究院 (KARI)の方に尋ねる機会がありましたが, "みんなの夢だから" という回答のみでした.
結論: 80.25人というのはあくまでに参考になさってください, 受験者の皆さま.

*1:ただし, 宇宙飛行士募集に応募する人数の, 妥当な値というのが分かっていないので, もしかしたら世界的にみたら日本が異常な可能性はありますね. この辺は先日募集を締め切った欧州宇宙機関(ESA)の募集結果が参考になるでしょうね.

*2:ESA の応募人数が明らかになっていました. 8413人だそうです.http://www.esa.int/esaCP/SEM3ZTRHKHF_index_0.html