雑感: 大学卒業生メールサービスの変遷と動向 2024/01版
友人から教えてもらって知りました:慶應義塾の卒業生のメアドサービスが2月末で終了.
卒業後20年以上私は第一メアドとしてほうぼうの登録に使ってるので,更新しないといけないかもです.痛い.しかも告知から2ヶ月未満でサービス終了というのはいささか配慮に欠けてないかと疑問を投げざるを得ない.
卒業生 Email サービスについては,よく知らないけど,2000年代序盤に各大学で自前提供するのが流行ったのかもですが,セキュリティ確保のためメンテナンスを常に継続しないといけず,諦めるところが出始めた,という状態か.妻の米国の卒業大学も自前から Google に乗換えると去年連絡が来たらしい (同じアドレスを継続できるらしいのがナイス) .
慶応については,自前サービスについてはセキュリティ面の機能強化が時代に追いついてない点への懸念を2022年に書きました.
2000年に開始されたと思われる自前サービス以降,学内は Google に切り替わってるはずで,じっさい2015年以降の卒業生なら Google 版アドレスを利用継続可能だそうで,2015年以前の卒業生にも Google へ転向等してどうにかサービス続けて欲しかったですが,利用者少なかったのか知らないけど,不要と判断されたということですね.
gmail.com にしろ永遠に続く保証のある (しかも無償の) サービスはないでしょうが,大学の運営するものなら無くならないだろとたかをくくっていたところ,そうでもなかった.慶応も生涯利用可能と謳ってますが (下に引用),さすがに20年先の技術/利用申請者数の動向,組織内 IT 部門の予算配分等の予測は難しかった,ということなのでしょうか,内情はわからないけど.
このメールアドレス(例:taro@2011.jukuin.keio.ac.jp)宛のメールは、すでにお持ちの別のメールアドレスに転送する仕組みになっており、原則として一生使えるものです。
あと,慶応にしろどこにしろ卒業大学に誇り/愛着みたいな感情がある人は少なくないでしょうからそういう人にとっても残念では.私はそういうのが殆ど無く,あくまでアドレス更新が面倒なこと一点のみが不満ですが.
既述のようにあるサービスが生涯継続,という謳い文句は半信半疑に留めるべきというのが今回の教訓かと思ってます.とはいえ私企業よりは大学の方がまだ期待できるかなという気持ちをいまいちど持ち続けてみることとし,私個人の第一アドレスは大学院のアドレスに切り替えます.数十か所から下手すると数百箇所の変更,めんどくさい..多分これを期にさよならするサービスが出まくる気が.
20年後の2045年頃に gmail.com がどうなってるかなんて誰も分からないけど,Email 自体は残る気がしています.インスタントメッセンジャー (IM) しか使わないという人が最近とても多いとは聞くけど,IM は現状ではデータのフォーマットが各サービス固有 (ですよね?) のため異なるサービス間でやり取りができず *1,拡がりが限定されるのに比べ,フォーマットが共通化されている Email は,送受信に使うアプリを限定しないので強いと思う.けど IM が強い機能,Like! とか送るの,が足らないのでそこは強化にならないのかなあとかは思うけど.かしまさか1990年代から細々と?続いてる aol.com だけが勝ち残る,なんてことになったりするのでしょうか.生きてればまたその頃検証してみたい.
いくつか他大の例
- Princeton 2023/11 https://alumni.princeton.edu/stories/princeton-updates-email-forwarding-service switches to Google.
- Johns Hopkins https://alumni.jhu.edu/important-security-changes-alumni-email-aliases-alumnijhedu rejects "disguised" sender-origin.
- 北里大学 https://www.kitasato-u.ac.jp/knc/mail/stu/end_service.html 2022/09 で終了
- 筑波大学 https://futureship.sec.tsukuba.ac.jp/news/211228-1.html Google で 20GB まで.世界的にも手厚い方に思える?
- 明治大学 https://www.meiji-shikon.net/?p=8581 2023/01 生涯アドレスサービス新規申請終了?
- Oxford https://www.alumni.ox.ac.uk/email-forwarding-service-faqs switched in 2021 to UK-based service called aluminaiti https://www.aluminati.net/
- MIT https://alum.mit.edu/disabling-basic-smtp-authentication-protect-alumni-email-accounts disabled some features (they are using Microsoft btw)
- 東京大学 https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/articles/n_z0516_00007.html 慶応と似て転送のみ.
- TU Munchen https://portal.mytum.de/erstlogin/mailbox_htm/document_view? Very limited volume but it's not alias, legit email.
- EPFL https://epflalumni.ch/page/lifetime-email-address is alias-only, similar to Keio's service.
- 横浜国立大学 https://www.ynu.ac.jp/hus/joho/22461/detail.html 2019 ends almuni service
- Florida State U. https://its.fsu.edu/about-its/news/fsu-ending-alumni-email-life-service ended lifelong alumni email explaining low rate of usage (only 10% accesses email in 3 years after graduation) and the school followed trend of other larger institutes (U. Illinois (which isn't confirmed yet by me), U. Florida (confirmed)).
- U. Florida 2023/10 https://www.usf.edu/it-updates/2023/alumni-discontinue.aspx suspends alumni Google service in 2 months afterwards.
- William & Mary https://www.wm.edu/offices/it/announcements/important-update-to-alumni-google-services.php shut down Google service for alumni, giving total of 7-month long grace period in 2023. One of the rationales is Google's service that used to be provided for free being no longer free.
- U. Minnesota https://it.umn.edu/services-technologies/resources/faq-planned-changes-email-offerings switches to alumni domain (I don't know what this entails internally though).
*1:昔は Pidgin - Wikipedia なんてのもあって期待してたけどいつからかすっかり聞かないですね