30歳過ぎから工学 vol.2

http://d.hatena.ne.jp/j130s/ から移行しました.オープンソースロボットソフトウェア技術者兼主夫. 高校・大学学部文系-->何となくソフトウェア開発業-->退職・渡米,テキサス州でシステムズ工学修士取得,しかし実装の方が楽しいと気付き縁があったロボティクス業界で再就職.現在 Texas 州内の産業用オートメーションのスタートアップに Georgia 州から遠隔勤務.

遠隔授業で学位の質を保つのは難しそう.そして録画は In-class でもアクセスできるべき

いま在籍している大学院プログラムは授業がすべて遠隔で履修できます.授業がすべて録画され,教員のコンピュータの画面も,手元の板書も録画される.生徒の座席にはマイクも付いているため,リアルタイムでない以外は一応教室で受講するのと変わりない内容を視聴できる.
宿題はオンラインで提出できるものに限られます.試験は監督官をできる人 (職場の上司や近隣の図書館の司書さん等) を指定し,その人が監督,回収,スキャンして学校に返送する形で行うことが可能.この性質の為おそらく高品質なコンテンツ (三次元モデリング等) を扱う機械工学等ではすべてを遠隔で履修するのは不可能らしい (勿論そういう授業を履修しなければ可能).
この方式のお陰で登校できない学生も大量に在籍することができ,私のいる Systems Engineering プログラムでは,通常教室に行っても数人〜20人程度しか居ないのに,受講者全体は数十人いることが多いです.去年はグループ課題で一緒になったクラスメートが中東のバーレーンに駐在している米軍オフィサーだったりもしました.



個人的には録画は,理解出来ない箇所を後で確認できるのでとてもありがたい一方,録画視聴中に気合を保つのは難しい ("質問して,good question と教員に言われよう" というのが授業中のモチベーションの一つなので).そして試験官制度も,忙しい上司が試験を厳しく監督してくれる場合はおそらく多くないと推察します.ただ経験から言うと,フルタイムで働きつつ遠隔で受講しているクラスメートでも,いつ作業してるんだ?と驚く程の質の高いアウトプットをグループワークに出してくる学生も少なくないのだが,それでも総合して考えると,学位の質を保つのには必ずしも貢献していないと思う.ただ,履修者数は飛躍的に増えるので,学校の収支としてはドル箱なはず.私立大学だからこういう策は仕方が無いのでしょうが,ちょっと残念です.
そして自分の問題として非常に残念なのが,録画は遠隔履修者しか閲覧できないこと.教室で受講する (In-class) か遠隔にするかは,履修するクラスごとに生徒が決められるのですが,遠隔だと技術料で一クラスあたり $600 ほど学費が高くなる分,In-class の人は録画が見られない.そこで録画を見たいのならば,すべてのクラスを遠隔履修すれば良いのですが,学校のルールか政府のルールか忘れましたが留学生の決まりで遠隔履修できる数が制限されている (In-class 2 に対し遠隔 1 の割合とかなんとか).
上述の通り,学習のことを考えると教室の受講以外に録画を見直せるというのは大きいし,意識の高い学生なら何度か授業を見返すことを厭わない.じっさい,近隣の医科大学では,公立にも関わらずすべての在学生に録画を公開していて,技術料を上積みされてるのか不明ですが,生徒のよりよい学習経験のために学校が努力をしているように感じる.私の学校の場合,学習経験のためということ以上に,金儲けなのでは?と感じざるを得ない.ましてやインターネット上に広く録画を公開しちゃってる MIT や Stanford 等とは雲泥の差 (色々な意味でそこら辺と比べるのはアレだが).
学費の差は"たかだか" $600 なんだから,すこーしくらい上げても良いからけちらずに全録画を公開するようにして欲しい.遠隔配信運営チームにはそう意見し,Director から意見ありがとうとは返信をもらったけれど,運営担当の彼らから上層に意見が行くかどうかは怪しいし,私もそうはいってももう卒業だし,なんだかなあと.

最高の田舎そば @ 小代行川庵 in 日光市.田舎そばとは行っても江戸前のすっきりした二八.