エンジニアリング学部の 1年生は全員履修する授業があり, 私もわけあってこの秋学期に履修させられました. わずか 1時間分しか卒業単位がもらえない割にグループワークで大量の時間を取られることで悪名高いのですが, 終わってみれば私にとっては中々良い授業でした.
と言っても良かったと感じたのはグループワークではなく教科書です. 250 ページ*1ほどの内容の大半はエンジニアリングの ethic, 日本語では倫理, について書かれていて, エンジニアとして仕事している際に起こり得る倫理的問題と事例概要, 実際に倫理的問題に直面した場合の対応或いは未然に防ぐための検証する際の手段等が, 浅くではあるけれども網羅的に抑えられていました. 例えば事例の 1つとして 1986年のスペースシャトルチャレンジャー事故をあげ, 開発責任者は既知の危険性を元に打上げ延期を訴えたものの, シャトルについて後向きな世論を覆すべく遅延を出したくない NASA の TOP が打上げを強行した結果の惨事. この場合のような, 双方の言い分とも理解できるがどちかを採る判断が求められるケースはどんな職種でもあるでしょう. この教科書は, エンジニアとして最適な判断を下せるようになるために日頃から心がけるべきことは何なのかを考える良いきっかけを充分与えていると思います.
授業では倫理については残念ながら 2時限触れただけでした. おそらく大部分を占める高卒学生達のモチベーション低下を避けるために倫理について多く触れられなかったのでしょうが, 業務経験者としてはむしろ認識を改め直すことができました. また, 小手先のテクニックではなく, 最も重要な概念を先に飢え付けようとするこの学校のカリキュラム構成(実際は充分に植え付いたわけではなさそうだが...)に少し満足しました.
グループワークについて
図1. グループワークのメンバーズと, 完成した投票箱 2個 |
デモ当日の審査員への説明風景
メンバー宅での作業風景