30歳過ぎから工学 vol.2

http://d.hatena.ne.jp/j130s/ から移行しました.オープンソースロボットソフトウェア技術者兼主夫. 高校・大学学部文系-->何となくソフトウェア開発業-->退職・渡米,テキサス州でシステムズ工学修士取得,しかし実装の方が楽しいと気付き縁があったロボティクス業界で再就職.現在 Texas 州内の産業用オートメーションのスタートアップに Georgia 州から遠隔勤務.

意思決定は経験と勘(定性的分析)から定量的(定量的分析)へ, でも最後はけっきょく勘?

組織の意思決定というお題で常に私が感じるのは, 次の3パターンの人がいるのかなあ, ということです.
a. 経験と勘, (大雑把に)言い換えると定性的分析では駄目だ, 定量的に分析しなきゃ, と言う人
b. その逆で定量的な分析なんて結局役に立たん, 経験と勘に頼らざるを得ない, と言う人
c. その両方のミックスの人
体系的な知識を導入して仕事する機会/余裕がない組織では, a の問題意識が起こってくるだろうし, 大規模システム開発を行うような大組織では例えばシステムズエンジニアリングなんかも導入しつつしかし大勢が納得のいく回答は機械的に算出されず, 結局 b の意識が生まれる結果 c に落ち着く. 落ち着くんだけれども, いまいちしっくりくるやり方は見つけられておらず, モヤモヤとしている, そんな状況なのかも知れない. 少なくとも私のこれまでの経験ではこんな印象を持っています. これが組織じゃなくて個人の意思決定となるとまた話はまた変わってくるんでしょうけども(例えばよくわかりませんがトレーダーは数値を使った予測だけで利益を得てる人だってきっといるでしょう).
私の今のところの結論としては, たぶん相当研究開発が進んだとしても, 複雑な意思決定を機械的に行うなんて不可能だろう, だけども定量的分析手法を知らずして勘だ経験だって言っててはらちがあかないとも思うので, 少なくとも手法を応用出来るようにある程度まで勉強することはとても有意義でしょうね.
それだけだと面白みなさ過ぎなのでもう少し意見すると, 分析手法とか言うと小難しく聞こえちゃうし, 実際小難しいものも多いのだが, 生き残っていくものや自分が使いこなして益を得るものというのはシンプルで使い易いものが多いはず. 例えば前職で上司がやっていたタスクの優先順位付けは, 入力が必要な変数は 2つしかなく, 入力すると 3 x 3 のたった 9パターンしかないマトリックスに 1 から 9 の評価値が出ます. 問題分析手法の知識など何も持たずとも, 極めて明瞭な判断を行うことができたし, 別な問題分析に応用する時にもマトリックスの設計はほぼ誰でも簡単にできた. 目ウロコでした. 数学の授業で習う数式だってそうで, 扱う現象の複雑さに比べて数式はすごいシンプルですよね. プロジェクトマネジメントやシステム設計開発(特に知識の体系化が遅れているとされる情報システム開発)において, 判断の材料となるデータを数式化していく試みはエキサイティングだと思います.
以下やや古いですが慶大SDM研究科委員長の狼先生のインタヴュ.


http://engineerlive.jp/skill/article/article7/P1/
聞き手: たしかにマネジメントの必要性は職種や業務を問わず、ついてまわるものですね。企業にいるとマネジメントについて専門的に学ぶ機会は得にくいでしょうから。
狼: おっしゃるとおりです。当学に通う社会人学生の多くが、「自分は努力しているし成果も出そうとしている。だが上層部の意思決定が結果に結び付いていないことが多い」という不満を抱えています。経験と勘と度胸での意思決定は、もはや通用しない時代になっているのです。
生ほうれん草と日光産湯葉, 牛肉ごぼう佃煮を合わせて作った茶漬け.