30歳過ぎから工学 vol.2

http://d.hatena.ne.jp/j130s/ から移行しました.オープンソースロボットソフトウェア技術者兼主夫. 高校・大学学部文系-->何となくソフトウェア開発業-->退職・渡米,テキサス州でシステムズ工学修士取得,しかし実装の方が楽しいと気付き縁があったロボティクス業界で再就職.現在 Texas 州内の産業用オートメーションのスタートアップに Georgia 州から遠隔勤務.

JAXA主催 宇宙科学講演と映画の会


program : http://www.isas.jaxa.jp/j/topics/event/2008/0412_kouen.shtml

340人のホールが満席で, おそらく400人程度?
今日は色んな記念日らしい

講演1 でのメモ

  • 引退したM-Vロケットまでの固体燃料の開発状況
  • (動画上映) ロケット搭載カメラからの, 発射から大気圏外に出るまでの映像 たった約3分間 されど3分間でそこは宇宙
  • M-Vロケット後の次世代ロケットの特徴
    • "ロケットは将来は車や飛行機のように簡単に"
    • 打上げシステムの運用コスト改善
      • 第一段設置から打上げまでを 47日間 -> 6日間
      • 50人現場にへばりつき -> 数人で, ノーパソで, ネット越しで
    • 自動点検機構導入
      • 自家用車は既に自動点検をしている. キー挿入後の点火までの間
    • systems engineering の最前線であり, "我々もシビれている"



講演2 のメモ

  • かぐやが撮った月面の動画 (同じ動画が JAXAのサイトや youtube 上に上がっているように思います)
    • アポロ計画の時に立てられた米国旗を撮ってくれとの要求は多いが, 現高度では分解能が低く不可能
  • 月面有人探査について, 2020年には米国人が, その5年後には JAXA の宇宙飛行士が行けるのではないか



感想
今日の同じ時間帯に科学未来館でやはり宇宙系, しかも国際的な運営組織をバックに持つイベント Yuri's Night があった. 悩みましたが, Yuri の方は"エンタテイメント" であり, 必ずしも宇宙に興味が強くない一般人をも対象にした "知的好奇心" イベントだとたかをくくり, 日本の"本家"であり, より宇宙に関わっていきたい人向けであろうこの JAXA のイベントを選んだ(蓋を開けてみたら, 見た感じ半数以上が高齢の方だったので "知的好奇心" イベントであるのは同じでしたが...).
興奮するポイントが 4つもあった.
1つ目はロケット搭載カメラの映像. たった3分で宇宙に行っちゃうんだね!!! 地球の縁が見えた時は嬉しくなった.
2つ目は今後のロケット開発の主眼の1つが, ロケットの運用コスト低減であり, シビアな Systems Engineering(SYSE と表記します)が実施されている点. "シビれている" という森田氏の言葉遣いからは現場の臨場感を感じることができ, 嘘じゃなさそうだな, と思った. 私の普段の仕事でも, 先端技術を開発するのではなく, 枯れだ技術だろうがなんだろうが役に立てば良いという, 目的志向のマネジメントを教わった. 性能の追及は一段落ついて, 今後は発射回数を増やすことに焦点が移っているのだろうか. 発射回数が増えれば, それだけ有人飛行の機会も増える可能性が上がる. ヤタ-
3つ目は月面有人探査の可能性の話. 2025年といえば私は48歳. 2020年といえば43歳か. 今後学位を取り, これから宇宙開発に1から入っていく身分としては, 丁度いいマイルストーンなように感じた.
4つ目は"はやぶさ"の映画. 小惑星イトカワの観測に旅立ち, トラブルで交信不可能に陥ったはやぶさだが, 再び交信が復活する. 孤独な衛星が淡々と業務をこなし, カタカナで喋る様が, 切ない...
質疑応答が40分以上行われた. 国の機関のようなものである JAXA のマネジャーに対して一般人が直接質問できる機会は貴重だと思うので, これだけの時間が割かれたのは良かった. 私も下記の質問したかったが, 残念ながら時間内に思い付かなかった. Q: もし月に, 利用可能なエネルギーが存在した場合, 実際に地球上で利用が開始されるのはいつ頃になる見通しか?月面有人探査開始が2020年だとするとその更に数十年後になるのか?
未来科学館のイベントも気になったけど, JAXA のイベントに来て良かった. やはり宇宙は理屈抜きに胸が高鳴る. この分野を選ぶことに躊躇いは無いし, これから辛い時にも支えにできる夢だ