30歳過ぎから工学 vol.2

http://d.hatena.ne.jp/j130s/ から移行しました.オープンソースロボットソフトウェア技術者兼主夫. 高校・大学学部文系-->何となくソフトウェア開発業-->退職・渡米,テキサス州でシステムズ工学修士取得,しかし実装の方が楽しいと気付き縁があったロボティクス業界で再就職.現在 Texas 州内の産業用オートメーションのスタートアップに Georgia 州から遠隔勤務.

日本国内での駅伝ブームと国際的競技力低下の問題がどうでも良く思えるようになる記事

#競技会の開催状況の都合上,以降は断り無い限り男子競技について書いています.

長距離走好きから始まった陸上競技ヲタ歴30年弱です.箱根駅伝等,日本の長距離走競技文化には最初10年強どっぷり浸かりましたが,おそらく留学開始した8年前あたりでぱたっと興味を失い,以降箱根をはじめ日本の駅伝の結果をチェックすることすら無くなりました.私なりの理由:

  • トップレベルの競技会に関して,日本国内でトップ駅伝競技会の注目が増す一方だった割に,国際大会で活躍する日本人とくに男子はむしろ2000年以前に比べ減った.従って駅伝競技会が競技力向上に貢献しているという風には,素人目には見えない.
  • (最早一般論だが) 個人的に日本国外でネタにならない事象について知ることは,優先度が下がる (言わずもがな,日本国内で盛り上がるトップ駅伝競技会は国外では知られていない).
  • 箱根駅伝について個人的にいうと,ずっとファンだった順天堂が弱体化した (´・ω・`).
  • 単純に,日本国外に住んでいると情報が限られる.2大誌月間陸上競技陸上競技マガジンが手に入らないのは大きい.生中継も見られない.


色々書きましたが1・2番目の理由が表・裏向き共に大きいです.競技の拡大のためにメディアに乗るのは重要なのは言わずもがななので,箱根駅伝を集大成とした学生駅伝が一般の注目を浴びるまでになったのは陸上競技会全体として商業的に大成功だと思います*1.従ってその点で言えば,スター選手を"ネ申"扱いしてみたりする行き過ぎな報道に対しても,うーんとは思いつつ目を瞑れます.しかしながら,日本国内の競技会で至高レベルで評価された選手が,五輪など海外の競技会に出ると,トラック競技では予選通過が精一杯,予選のないマラソンでは10位にも入れない,という状況が続くと,あれ,あれだけ日本で強かった選手が世界では片手で捻られてる…,"ネ申"じゃなかったんでしたっけ?と,残念な感想を持ってしまっても仕方のない状況.

日本の長距離が世界的に強かった時代があるのは事実.80年台にはマラソン世界記録上位に何人か名を連ねたし,91年世界陸上 (谷口浩美),92年バルセロナ五輪 (森下広一) では異なる選手がメダル獲得し,強いなと思わせる結果を残しましたが,以降は銅メダルが2回あるのみに留まっています.

ちなみに女子は,2000年シドニー (高橋尚子)・2004年アテネ (野口みずき) で五輪二大会連覇,高橋選手は記録開始以降はじめて女子として2時間20分の壁を破り,90年台前半以降ほぼ毎回世界大会のマラソンでメダル或いは上位に入り,日本選手が劣勢と思われるトラックの長距離種目においてすら存在感を示しています.また名を連ねるのは毎回のように異なる選手で層も厚い印象.そして,箱根のように"国民的"に盛り上がる成人以上の駅伝競技会は女子には無いと言ってよいと思います.

特に箱根駅伝というシロモノは,元々の目的が国際競技会で戦える選手の育成ということで,当初の数十年前の目的は達成しつつも,現代の国際的状況には合ってない (これは色々な人が批判もしてると思いますが) と思われても仕方が無いでしょう.

書くの疲れてきたのでいきなりまとめますが,こういう状況で個人的になにか日本のトップ駅伝大会に興味が持てなくなってましたが,今回の記事 "海外記者が断言。日本ほど「ランニング中毒」な国はない" を読んで (本を読んだわけではないです),なんか心が収まりました.長距離走はもはや日本では文化になりつつあり,英国のクリケットみたいな存在だと.それであれば,楽しんだり,精神的な充足が成されればよく,国際競技会でウンタラカンタラとか言うこともないのかなと.

メデタシメデタシ.

*1:競技主体は学校なので,商業的というのは自分で言ってて変にも感じますが.