30歳過ぎから工学 vol.2

http://d.hatena.ne.jp/j130s/ から移行しました.オープンソースロボットソフトウェア技術者兼主夫. 高校・大学学部文系-->何となくソフトウェア開発業-->退職・渡米,テキサス州でシステムズ工学修士取得,しかし実装の方が楽しいと気付き縁があったロボティクス業界で再就職.現在 Texas 州内の産業用オートメーションのスタートアップに Georgia 州から遠隔勤務.

名の読み・アルファベットを公/法的に管理する仕組みは日本に無い?

# 名の読みは戸籍上管理されていない?

子らのためのある事で戸籍謄本が必要になり日本から送ってもらいました.コロナ禍で日本の郵政から米国への発送にも制限があり EMS 発送が不可だったとのこと,また米国側の USPS も少なくとも2020年11月の大統領選挙の前後の財政難が聞こえており,郵送は暫くかかるかなと覚悟していたら,3週間もかからずに届きました.USPS の政治利用など腹立たしいニュースはさておき,少しでも早く届けてくれる現場の皆さんには頭が下がります.

戸籍謄本を眺めてて恥ずかしながら初めて気付いたのは,名前の読み仮名がふられていない.調べたらそのとおりのようで,名の読みを法制化するのは検討中らしい (mainichi.jp) ですね.興味深い実体験も見つけました (hatena.ne.jp) .うちの長男は特に読みが独特なのでどう申請したっけ?と思ったら未管理かよ!となりました.出生届の写しをみたらふりがなは振ってありましたが,その情報は管理されてないということになるのだろうか?不思議.

# アルファベット/ローマ字読みも戸籍に管理がない?

関連して気になるのはアルファベット/ローマ字表記.戸籍にはやはり表記はありません *1.これは,読みすら管理されてないんだからまあ"当然"と理解できる*2.思いつく日本の法的文書でアルファベット/ローマ字表記が記載されてるのはパスポートですが,この申請時のローマ字は一体どうやって正当性を評価されてるんだろう???本人の申告の 日本語読み + ローマ字を事務側が何らかの方法で,うんこれは妥当!と判断してるのか.だとしたら読みもローマ字もどちらも法的に管理されてないということで正しければ,現場の判断で,妥当そうじゃね?となれば嘘でも受理されるのか??

# 米国で自らつけたニックネームと功罪

アルファベット/ローマ字表記については自分にも実際に興味があります.

米国に来て以降,ローマ字読みの名を非日本人が読む際,およそ私が理解できない読み方になってしまい,自分が呼ばれてることに気付かず苦労し (日本人で同じ思いされてる方は多いでしょう),喫緊の解決法として非日本人に馴染みある名前を付けました.渡米後13年経った今,仕事でもプライベートでもその名で通っていますが,言わばあだ名に過ぎず,落着いて考えるとちょっと問題だなと感じ始めました.

  • まず親が付けてくれた名前ではないというのはずっと気になっています.
  • あと,仕事で法的な名は仕事中遣ってる名前と全然違うということを伝えると驚かれたことが何度かあります.米国 (というかインターネット上のエンジニアのコミュニティで) では,"あだ名 + 旧性" で十数年通しており,その後婿入りしたので法的な姓も変わりましたが,仕事でもコミュニティでも "あだ名 + 旧性" を変わらず用いています.法的な名前が姓・名どちらも違うのを知って驚きを見せた人達が,どういう理由でそうだったのかは知りません.繊細な点だったので私も突っ込んで聞いてませんし,相手も危機的な意味で驚いたのでは無いと思うと理解してます (なお人事には周知済・問題ないよと了解入手済).が,特に米国だと不法入国は勿論,合法的に入国した人達をすら (2017-2021 の) 大統領が口撃する社会的背景もあり,外国人社員が法的なものと異なる名前を仕事で名乗っているということは,おや?と思われてもまあ仕方ない状況なのかな,と思います.私としても,正直同僚が困ってるわけじゃないので,解決が必要な問題というわけでは無い.

# ニックネームをやめ,本名に読みが近い名に変更する

米国での色々も判ってきたし,こういう背景でここらで仕事・生活上での名の読み,表記を元に戻すうまい方法は無いかなと思っていたところ,聖書のある登場人物の名が,私の本名を英語読みした時にほぼ同じに聞こえることを見つけました.聖書の人物の名を借りて命名するという行為が,常にその人物が持つ聖書的意味と関連付けるということになるのかどうかは,議論の余地がありそうですが,少なくとも,親が私に命名した時の意向には含まれてなかったと思います (それどころか仏寺のお坊さんに命名を依頼したとも聞いてます).しかし,実際には私は親が付けてくれたのではない名を米国で日常名乗ってるので,それと比べたら少なくとも音がほぼ実名と同じ名を名乗ることは,親の意向に近付くことになると思っています.また,名は親から頂くものという考えに依拠するとすれば意味は無いかも知れませんが,あくまで私的にはクリスチャンとなったので聖書中の名を頂けるのは嬉しい.

実現にあたり,日常使う名前だけ変えるのか,法的な名前も変えるのかは検討が更に居るかなと思います.

  • 日常名の変更ならば,最大の変更は勤務先のシステムに登録されている名前の変更,そして人々への周知です.これは勤務先や同僚に苦労がかかりますが,仕方ないでしょう.友人知人への周知も必要です.
  • 法的名称を変えると大掛かりです.ありとあらゆる行政・民間の法的登録を変更することになります.特に日米双方で行政に同じ表記を使うのが,後々の問題を防ぐために大事そうです.費用対効果が見合うのかどうかの判断が容易でない気がします.あとそもそも日本の行政が,おそらく管理してないとはいえ,一旦パスポートは現在の申告したスペリングで作ってるわけで,今後自己都合で別なスペリングを使いたいという申請を受け入れるのか不明.

名前を一つにできるのは,会話する相手によって,どっちの名前使うんだっけ,と考えずに済むのは楽そうだなあ,と思うけど.結局やらない気がするけど,案として置いておきます.

*1:"名 アルファベット" で検索に引っかかるのは,名姓でなく姓名という語順を公とするという決定 (kantei.go.jp)についてばかり

*2:米国生まれの子らに関しては,日本の行政に出生届を提出した際の捕捉資料で,米国発行の出生届原本か写しを提出してるので,アルファベットも管理しようと思えばできるはずだが,やってるかどうかは不明.

米国南部で思うアジア人差別

今住んでる Atlanta で今月起きた乱射事件が引金になり,米国在住アジア人への差別行為が増えてる事実が見えてきている (身内も侮蔑されました,しかも民意は高いと目されるカリフォルニア州バークレーという大学街で) 一方,あくまで個人的だけど,アジア人差別カテゴリに入ってるすべての事件において問題の根本が差別なわけではないんでは?という違和感が,米国アジア人当事者としてあります.仮に傷害起こす動機が人種差別だったとして,(それはいけないし反吐が出るけど) 傷害行為に及ぶ方がより重大で喫緊の問題ではないのか (なお暴力の手段として,大量傷害兵器,すなはち銃,が簡単に使用できてしまうことが文字通り致命的にヤバすぎるこの国,と思う)?なので,傷害事件でアジア人差別の疑いがあり等の報道を見る度に,メディアがまた不必要に人種差別に結びつけてないか?本当に焦点当てるべきなのはそこなの?と思うことがしばしばあります.


でも,中国人含めても国民の 6% 前後に過ぎないアジア人に対する差別的言動が存在し,ここ1年で目に見えて増えている,ということに世間の関心が高まった事自体が,大きな前進だと捉えることにします.誰かが正しい論を唱えても,関心が高くないとその論は耳に入らない,そういう世の中らしいし.それにアジア人は (英語の不自由さを抱える人も多く) 無抵抗,みたいな背景も指摘されていて,そういう所もあるだろうと思う一方でだからこそ声を上げないと,という反発心も自分の中に出てくる.なのでメディアで傷害沙汰の第二声で,アジア人対象のヘイトが,と根拠も未だ無いのに叫ぶのも,受け入れようと思う.


自分が物理的被害を受けてないから悠長な事を言っていられるのかも知れないです.でもこの国で子供3人育ててくために,自分がすぐにでもできることを考えると,関心を上げることへの貢献だと思いました.今後何をしていけるか.

 

しかも南部で.最近も,アトランタ近郊出身で極右に振り切れちゃってる下院議員が白人至上主義の旗を降って物議を醸してます.一方でアトランタの Bottoms 市長は人種差別に真っ向から対峙して気骨を見せている.アトランタ近郊は,行政区ごとに規制してることもあり,マスク着用率がかなり高いものの,少し離れると屋内でもマスクしてなかったりします.先日子らの学校候補として訪れたアトランタから1時間車でいった所にある某私立校は,案内してくれた校長先生以下目にするスタッフ全員がマスクしてなかった.信条の違いはあれど,公の場・立場でマスクをしないというのがこのご時世で成立していることに文字通り口が塞がりません.


話逸れたけど,米国でアジア人として子育てしていくことについては,姉妹で米国育ちな妻の経験もありよーく話題になります.またいづれ考えを整理したいところ.

日本語でのベビーシッター募集準備

外国で同じような需要を経験した方がいらしたらどのようにしたか教えて頂きたいです.

# 米国でのある日系人家族での日本語の需要

どこの親御さんもそうでしょうが,うちも子らの言語教育については思いが沢山あります.特に母国外で生活されてる方なら必須となる現地語以外に母国語の教育をするか否か,するならどの程度期待するか,考えることは増えるかと思います.

うちは米国以外に住むことは妻の仕事柄あまり考えにくく,子らは英語を母国語として成人するのはほぼ確定しています (勿論,親が成人まで持っていってあげらればの話...先は長い,長すぎる).いっぽう両祖母父ともに日本に居り,会うために日本に行く機会は多くなるでしょう.また私の方の親は英語をあまり話しませんし,私達は親として子らに日本文化をより理解して誇りに思ってくれると嬉しい等,日本語を身に着けて欲しいと思う動機には事欠きません.

# ある日系人家庭での日本文化教育の問題

特に国際結婚等の状況下での,幼少期からの複数言語教育は近年の研究結果等から推奨されてきているようですが (参考:babycenter.com),子供にとって母国語の習熟でも素直にはいかないのに複数言語を同時に習得するのが困難を伴うのは想像に難くないと思います.あくまで私達が見聞きしてきた例をもとに考えると,子供達の第二言語としての日本語の習得は当初思ったより遥かに難しそうです.御両親ともに日本生まれ・育ちのご家庭のお子さん達が成人してカタコトの日本語しか話さない例を何度も見てきました (なおこれには御両親自身が受けた教育レベルも必ずしも反映しないようにも思える).逆の例,つまり両/片親が日本人なご家庭のお子さんで日本語が (ある程度) 流暢な例も多く見てきたのも事実ではあるものの,親としてかなり"うまく"やらないとこれは大変そうだぞと危惧しています.

# どうのようにすると"うまく"いくのか?

各家庭により様々な意見がありそうですが,今の所うちでは次のような方向に行こうとしてます:

  • 家の中では日本語中心.子らも妻も英語の方が楽だが,できるところまで日本語でやり遂げる.ベビーシッター等子らと接する時間が長い方はできれば日本語だと尚良い.
  • 家の外で日本との接点を作る.
    • 現地の日本人コミュニティ (先祖は日本人で自分は米国育ちの所謂 "日系コミュニティ" にカリフォルニアの教会で数年所属して,とても代え難い経験をさせて頂いたが,この目的には不十分),お友達作り,イベントへの参加.
    • 日本の祖母父達を定期的に訪れる.米国では夏季休暇が多くの学校で5月末くらいから8月中旬程度までと長く,日本の学校に短期入学も認められれば時期的には可能.

夫妻の仕事,生活状況と考慮し現実的な範囲を見つつ,それぞれの想いも踏まえてこんな結論になってます.変わっていくかもだけど.

身近な成功体験にかなりヒントを得ています.妻達姉妹は,毎夏を祖母父のいた鹿児島県の島で過ごし,現地の小学校にも夏休みに入るまでは通わせてもらい,友達もいました.いわゆる日本語補習校 (土曜日終日つかって?日本の教育カリキュラムを教える.日本への帰国を検討している子息向けか) には通わない等,米国では家庭以外では日本的な接点はあまり無かったはずにもかかわらず,話し言葉としての日本語にあまり不自由しておらず英語訛もまったくありません.なにより日本文化への想いが強い.

# 課題:日本育ちのベビーシッターを募集したい

家の中での子らへの日本語の接点を増やしたく,家事面での現実的な需要と合わせて,日本育ちのベビーシッターだと嬉しいかもという想像をしています.

現地で見つけるというのも始めましたが,NY や LA,San Francisco 等一部の超大都市とは違い,私が住むのは日本人がそれほど多く住む場所ではないので,難しそうか.

日本から一年間雇用して渡航してきもらう制度の利用も検討しています.au pair という世界に広まっているベビーシッター専門の業態があり,手続きや問題解決を代行してくれて便利そうですが,仲介業者によってはホスト家庭の文化背景が応募者のそれと異ならないといけない (つまりベビーシッターとホストが日本語で会話できてしまう環境への派遣は NG) ところもある.また,Covid 渦中で来てくれるのか,依頼するのは道義的にありなのか.

au pair だとフルタイム雇用が必須となりますが,au pair 以外のオプションについてはパートタイム雇用も検討中です.いかんせん要件がまだ流動的.

 

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友人が作ったどうぶつひらがなポスターはかなり効果的.2才児も大好きです.子ができる数年前に買っておいたけど損しなかった.

 

筑波大学男子の長距離走が熱いらしい

日本の長距離走が駅伝に過熱していることには,自分なりにケリをつけたものの,それ以降特に興味が復活していませんでした.しかし最近記録面で進歩が著しいらしく,高校大学実業団の各層で新記録が沢山出ているそう.Google Assistant に陸上競技を入れていてかつ日本人なのも判っているためか,日本の陸上競技のお勧め記事が毎週出てくるので知りました.
あと数日で日本では箱根駅伝ということで,少し状況を覗いてみたら,贔屓の順天堂が予選会の過去最高を更新したとかを差し置き,数多あるニュースの中でコメントせねばと思ったのは筑波大学のここ数年の躍進.義家族が筑波大に縁が深く私もほぼ毎年筑波に滞在するのもあるし,医薬理工系の学生さんが大活躍してたりして,なんか幾つも興味が湧く点があって色々見て回ってしまった.

  • MVP にあたる金栗四三杯のモデルの金栗氏,NHK 大河ドラマいだてんで脚光を浴びたが,そういや東京高師,現筑波大学の卒業か.なおドラマは米国からでも観てました.視聴率が低迷したり色々批判もあったようだけど歴史に残る快作だったと思う.
  • 2019年には予選会を勝ち抜いて箱根本戦に出場してたとのこと.医学部の5年生も出走したとのこと.5年生ってもう病院に実習に出る頃ですよね?一体どうやったらトップレベルの競技力を維持できるのか?異次元すぎる.
  • 私の母校宇都宮高校を創設以来初めての県高校駅伝で上位に導いた時のエース平山大雅君が2020年に入学.
  • 2020年は予選会を僅差で惜しくも敗退.しかし個人10位以内に2人入賞.その内のひとり猿橋拓巳選手は理工学部.同じ理工系としてこれまた異次元すぎる (競った相手の贔屓の順天堂のこれまた異次元な新人が20歳以下ハーフマラソン日本記録だったというのも…理工系でもトップ競技を争えるのかと).
  • そもそも長距離部門?の監督が弘山勉氏になっていたらしい.栃木県男子長距離走のスターのお一人.いつぞやの福岡国際マラソン?で当時世界最高記録保持者のデンシモとラストまで競ったのはまだ覚えてます.その後ご夫人・弘山晴美氏のコーチに専念するため引退し,彼女の引退後に40歳前後でお父さんになられたはずというあたりには親近感も湧く (でも監督とかしてたら流石に主子育ては勉氏ではないのかな).

過熱する日本の駅伝人気の渦中にある多くの学校には,誤解を恐れずいうと,古くから認知されている大学にとっても新しい大学にとっても,駅伝 (や他のスポーツ) には受験者獲得のための広告塔という側面があるんだろうと察します.競争のために,多くの学校では授業より競技を優先できる環境になってることと思われる中,筑波は多分そうではないし,ましてどこの大学でも医薬理工系は実習系無しに学部を卒業できないだろうからどうしても課外活動の時間は少なくなる.そもそも長距離走は長い距離を踏んでなんぼなところがあり当然拘束時間は (少なくとも他の陸上競技に比べ) 長めになり,"文武両道"に不向き.更に筑波は国立大学で,推薦入学などの学力試験が簡略化される制度も無いでしょう.色々な制限の中で勝ち上がったことの価値は大きいよなあと素人ながら思います.

米国から日本のニュースを気にし続けるのは言うほど易しく無いんですが,平山選手が在学している間忘れずに注目を続けようと思います.

大学学部の情報技術教育 2020 年版

大層なタイトルつけてしまいましたが,ただの随想です.私も学部を過ごした慶応大学藤沢キャンパス,通称 SFC の情報技術教育について現教員の方々が今後に向けて綴った記事

WindowsMac の自分所有機を持込み,人口言語の授業は Python らしい.教室から計算機を全撤廃するのは,まあそうなりますよね.

私が入学した1995年当時は,計算機環境自体が滅多になかったのもあり,田舎から出てきた20歳というのを差引いても,革新的な環境だったのでは.端末はほぼ UNIX,Email は Emacs 上で MEW で読み書き,文書作成は LATEX.個人所有のコンピュータ持っていた人は WindowsMacGUI のツールを使っていたけど,しばらくコンピュータ買わなかった自分はテキスト基盤がすべてだった.学部1,2年の情報処理の授業は専攻無関係に全員が C でプログラミング.工学部かよ,と.裏側は NFS で,学内でのファイル共有は,クラウドを基にするのが多そうな今風な社内システムより簡単だったのでは?とか思ってしまう.何でかうまく説明できないが,コマンドで一意に記述できるからか? (実際,数年前にシリコンバレーインターンした "ロボティクス業界の Google" と言われた企業でも NFS が構築してあり,10数年ぶりに触ったけど改めて使いやすいなあと思った.でも Google Drive もあったので皆そっち使ってたけど).

私はその後卒業して暫くは,企業勤めの環境の影響もあって Windows でしたが,2008年に学生に戻り,Windows ラップトップを学食で盗まれ,バイトしてた研究所の業務の影響でそれ以降主端末を Linux に移行し,未だにテキストエディタEmacs です.割と保守的な私が抵抗なくそんなことできてるのは間違いなく学部時の刷り込みのおかげ.

コンピュータ自体が珍しかった20世紀末と今とではまったく事情が異なるけど,先生方は大変でしょうね.オンライン授業/MOOC も充実してきて,大学教育自体も問い直されかねない状況ですし.

当時既に,コンピュータを使いこなして問題発見・解決の道具とする,という考えは刷り込まれてた気がするけど,自分は当時はコンピュータ環境の理解で終わってしまった感じ.他の学生もそういう人は多そうな気は何となくする.今は Win/Mac だし Python だし,余計なこと気にせず,計算機資源を使いこなすことにより重きを置ける状況になってきてる,のかな.

NFS の例もそうだが,コンピュータって,25年以上経って,それほど使いやすくなってないよねとも思う.できることが増えたので操作も複雑になるのは仕方ないのだろうか.仮にそうだとして,それだと進歩止まりますね.

CA から GA へ

6年住んだカリフォルニア州北部から,東海岸方面のジョージア州アトランタ近郊に引越しました.Facebook でお告知らせはしていたつもりだったもののあまりにも知られてなかった風があるので,改めまして "アトランタ?なんで?" というあたりの捕捉をしました.

そもそも6年前に北カリフォルニアに引っ越したのは妻の仕事での移動でした.この度,5年間の外科研修 (所謂 resident) が **やっと** 終わり,研修の合間に取った1年間の研究期間を含め6年の契約というか期間が終了しました *1.彼女は専門性をより深めるため1年間の追加研修をすることにし,応募して採用となった Atlanta の病院で仕事を始めています.

追加研修の応募先を探すにあたり2人で沢山話合いました.私個人で言うとカリフォルニアはとにかく気候が合っていること (北部は実は暑くなるものの湿気ゼロ (体感) なのでとても過ごしやすい)*2,米国内としては比較的日本に近いので行き来しやすいこと (子らを祖母父達に合わせるために必要),所謂シリコンバレーにも近く私自身は情報産業の仕事も探し易いこと,リベラルな気風等,カリフォルニアというか西海岸はとても気に入っており,かの地を離れる想像はそもそもあまりつきませんでした.しかしより現実的な?妻としては,高額な所得税は懸念としてあり (州によって税法が異なり,California は高税率),またより多くの友人達に近い地域に行きたいという希望もあったようで,意見がまとまり切りませんでした.そのような中で,行きたい追加研修プログラムを提供する病院が西海岸に決して多くなさそうなことが判明し,採用になれば米国内どこでも行く,という心積もりはした方が良さそうというのが判ってきました.そこで,追加研修は1年か2年間と決まっているので,むしろこの短い期間を遣って,自らは絶対に選ばないような地域を経験してみるのは良さそう,と前向きに捉えました *3.私は日本育ちなので無論のこと,米国育ちな妻としても,この国をより理解したいという希望はあり,この機会を利用して短期間なかなか知る機会が無さそうな地域に住んでみるというのは理に適ってそう,と意見が合いました.唯一私からのお願いとしては日本との直行便のある都市に絞ってもらいました.

結果,こうして東,というか米国では南部とのみ呼ぶっぽい,に来ました.一般的な?印象で言うと南部は保守的で,米国で言う"保守"は極端にいうと2020年現在の大統領の支持層なので,政治どころか人間の根源的な部分の考え方について相当に相容れなそうですが,米国内の常として都市圏は進歩的な考えの方も多いと聞きます.いづれにせよ目を見開いて過ごせるだけ過ごしてみます.南部に住むというのは,たった数年前の自分達の未来予想図にも一切入ってませんでしたが,妻の職場となった Emory University は,彼女が高校生の時に学部に応募してたようで,また10年前に私が大学院受験している時にも薦めてくれたりして (私が受験してた工学系が無い,ということは知らなかった様子w),今回まさかこうなるとはと縁を感じずに居られません.

未知のアメリカ南部をなんとか楽めるように整えていければ良いと思います.最短だと Georgia に住むのは今から1年間ですが.この先,より長く定住する地を決めるのはこれまた諸事情により,まああと4年後とかになるのではという気がしていて,あと1,2回は引越すことは覚悟しています.そういうわけで私は西海岸推しですが,どうなるか.南部を気に入って (或いは南部が私達を気に入ってくれて) 定住したくなる可能性もあります.

Plotted on Google Maps the direct line from northern California to Atlanta, GA

今回の引越しの直線的移動を地図に載せました.姉が探してくれたのによると直線距離 3,356km とのこと.稚内から福岡が 1,631km だそうなので日本だとほぼ北端から本土南端を往復ということになる,そうです.なお地図上の左下にある California 州が面積だけで既に日本より広いそう.

*1:研修が終わった,とさらっと述べるにとどめていますが,研修医の苛酷さは家族としても書けることは山ほどあり,むしろあり過ぎて萎えて書かない,という状態なのが正直なところです.が,絶対に忘れたくない経験で,子らにも伝えたく,記憶が遠のかないうちに回顧したいと思います

*2:日本に三十数年住んだ後に米国 (最初は Teaxs 州) に来て異なる気候に長期間身を置いてみて初めて,自分にとって気候はとても大事ということに気付きました.和辻哲郎の "風土" を引用しようとしましたが,そんな知恵はないことにも,気付きました.

*3:"自らは選ばない"というのは,家族や友人仕事のネットワークがあったり,仕事・生活上の大きな利点があるのが判ってたりする地域以外に住むことには理由が必要という意味です.

製品リリース難

オープンソースソフトウェアのリリースについては以前の5年間ほどほぼ毎日のように関わっていて,数千/数万人以上の同時ユーザがいるようなソフトウェア (MoveIt, industrial_ci 等) もやっている/たので,勿論困難はあれどまあお手のもの感はあったのですが,製品のリリースとなると勝手が違うようです.前職で,お客様の大手企業ロボティクス部門の方々が,年二回のリリースの度にエグリまくってたのを見て,何が大変なんだろう?でも触れないようにしよーっと,と見物していましたが,現職でリリース担当になって1年半,毎四半期のリリースの度に息も絶え絶えになっています.オープンソースの場合,不具合があったら修正リリース出せば良いやの世界ですが,製品,しかもお客様現地行かないとつらい,とかだと一個不具合直すために旅費だなんだで百万円以上かかることもあるし,そもそもお客様先に損が発生しかねないので,とにかく慎重です.産業用システムって化石のような古いバージョンが現役だよねとか馬鹿にされる対象なわけですが,自分も似た心持ちになりつつあるのが悲しくも現実.リリース作業期間中はニュースとか読む心の余裕もなくなりますね...終わった (Ende) と思ってもリリーステストで何か見つかったりで,なかなか終わらないし (Never Ending).つい Michael Ende が名作 The Neverending Story 書いたのって自分の名字に創発されたんだよね?とか考えて気を紛らわします.

 

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