留学中の日本人の方に Linkedin で声をかけて頂き,今後米国内の産業用自動化/ロボット業界で就職を検討中で,弊社や米国の業界について聞きたいと言うのでお話させて頂きました.私は ROS1 界隈で名前が沢山出てるのもあって技術者で声を掛けて来る方はかなりいますが,意外に日本人から話聞きたいといった御連絡頂いたのは,今の仕事始めてからは初めてかも知れません.
色々お話しましたが,日本人としてディス/アドバンテージは感じるか,という点.これも意外に聞かれたことがなかったです.私はフルタイム勤務者が100人に届きそうなくらいには育った割に日本人が私しか居ない米スタートアップ企業に勤務して5年なので (かつ従業員1号 *1 ),この文脈においてまだまだ経験浅いですし,就職時にも在職中にも日本出身という点を一切アピールとして使っておらず,違ってることがかも知れませんが,個人的に次のように感じてるのでここでも書いておきます.
- 業界無関係に,米国で働く日本人として:米国の企業で働く人の多くが,安心,信頼できる.やらかしが少ない,といったよく言われるような先入観を日本人に対して持っている,ような気がします.まあ,対象範囲が広すぎて断定的なことは何も言えないですが..
- 産業用自動化/ロボット業界での日本人として:大いにアドバンテージあると思います.ロボットアームの Fanuc,安川電機はじめ,世界/米国で流通する/幅効かせる産業用機器類のメーカが日本にとても多く,それらの業界にいたことがあればそれだけで,商習慣に一定以上精通し,関連業者等のネットワークもあるでしょうから,強力なバックグラウンドになるんじゃないかと思います.関連業界にいたことがなくとも,(求められる技能にもよるけど) そもそも言葉と一般的な文化・習慣を知ってるというだけでも強みだろうと思います.
逆にディスアドバンテージがあるかというと,
- まず出自による差別は法律に反することもあり企業がとても気を遣っているところのため,表立ってはあり得ないでしょう.実際裏でどうかというのも,感じたことは無いですし私の範囲では聞いたこともないですかね.人による,でしょうか.
- と言っておきつつ,いわゆる日本企業的な仕事の進め方に成功体験を感じており,米国でもそういったやり方を持ち込もうとするならば,それは苦労するかもな,という気はしました.以下私の経験の範疇でしかないですが共有すると,現職に就いたばかりの時はプロトタイプ,つまり机上のコンセプトが実地で成立するかの検証を,物流業界の超大手のお客さんが,試験環境でなく本番環境でやらせてくれてました.お客さんの興味はとにかく,提供するサービスが使えるかどうか,だったのだろうと思います.一方私がお仕事でお手伝いした日系メーカさんでよく話題になったのは,オープンソース技術で製品作るのは問題ないのか,問題起きた時に誰が技術サポートしてくれるのか,といったことで,プロトタイプ作る以前にいろいろと調べておられるようでした.先述の米国の超大手は,それらの技術的な細々したこと (と括って良いのかどうかは分かりませんが) は,検証が終わり,使えるねと判断頂いてから初めて,事細かに聞かれたのだと思います.
どっちが優劣という話ではなく,どれだけリスクを取れるかどうか,ということと思いますが.超大手でも質を取るために取るべきリスクは大きくても取り,失敗すればとっとと次へ移る,というのは驚いた,という話ですが.このへんの心の持ちよう,石橋叩いて渡る的な進め方や,スーパー丁寧に進めることとか,"日本人的な仕事の進め方"良いことだけど有難く思われないかも?と思いました.まあ,事業が成功するにつれ本当に進む速度が速くなってきて,他の成功してるスタートアップもやはり成長しており,生き馬の目をウンタラ,という感じに業界自体がなってるから余計に感じるのかもしれませんが.
*1:非・管理部門という注釈はつきますが.